『WheeLog!』というアプリをご存じですか?
「車いすでもあきらめない世界」を目指して開発された、バリアフリーマップをみんなでつくるアプリです。
その、バリアフリーマップをみんなでつくるワークショップ【WheeLog!街歩き】に参加してきたので、様子を紹介します。
みんなでつくるバリアフリーマップ『WheeLog!』
街中のバリアフリー情報を、アプリ利用者が写真やコメントでどんどん追加していってみんなで共有するWheeLog!アプリ。
たとえば今回のように鎌倉の街を車椅子でまわって、そこでの気づきやバリアフリー情報をアプリに追加していく。
今回のように特別なイベントではなくても、それぞれが気づいたときにその情報を共有する。
そうしてアプリの精度を上げていき、日本全国のバリアフリー情報を網羅できるようになっていきます。
車椅子ユーザーにとって革新的なアプリで、ぜひ利用をおすすめしたいのでリンクをはっておきます。アプリのダウンロードや使い方、開発者の思いなどはこちらを見てみてください▼
みんなでつくるバリアフリーマップ - WheeLog!
車いすでもあきらめない世界をつくる WheeLog! みんなでつくるバリアフリーマップ Web版を見る 車いすでもあきら ...
wheelog.com
【WheeLog!街歩き in 鎌倉 with 廣瀬俊朗さん】とは?
そのアプリの周知と活用のためのワークショップ【WheeLog!街歩き】が定期的に開催されています。
今回は、元ラグビー日本代表キャプテンであり、現在は俳優としてドラマにも出演したりさまざまな活動をされている廣瀬俊朗さんをゲストに迎え、鎌倉の街を車いすで歩いてまわるという回でした。
廣瀬俊朗さんの現在の活動はこちら▼
株式会社HiRAKU
hiraku-japan.com
チームに分かれて街歩き調査
30名ほどの参加者が、1チーム5名ほどの班に分かれて行動します。
班分けはあらかじめ決められていて、廣瀬さんはA班、私と母はB班でした。
B班のメンバーは、母と私、ほかに理学療法士さん、ご家族が車椅子ユーザーという若い男子と女子が1名ずつの合計5名。
その中で実際に車椅子ユーザーなのは母だけ。車椅子はもう1台準備されていて、そちらは母以外のメンバーが車いす体験として交代で乗ったり介助したりします。
廣瀬さんとは別の班でしたが、初対面とは思えないくらい気さくで、楽しくて、温かくて、頼りになるメンバーに恵まれてスタート!
いざ鎌倉の街へ!
それぞれのチームが鎌倉の街のどのあたりを歩いてまわるかは、そのチームで決めて向かいます。
まずチームリーダーをチーム内から選出して、チームリーダーのくじ引きでそのチームの調査のメインミッションを決めます。
私たちのチームのミッションは鎌倉グルメ!
鎌倉の美味しいもの情報を集めることがメインテーマとなったのですが・・・
向かうは銭洗弁財天!
私は鎌倉には訪れたことがなかったので、メンバーの「銭洗弁財天はどうですか?」の提案にすぐ賛同。
銭洗弁財天(ぜにあらいべんざいてん)は、「湧き水で銭を洗うとお金が増えるという神さま」ということは知っていたので、これはもう「銭、洗うぞー!」
銭洗弁財天宇賀福神社 - 鎌倉市観光協会 | 時を楽しむ、旅がある。~鎌倉観光公式ガイド~
鎌倉随一の金運ご利益スポット「銭洗弁財天宇賀福神社」
www.trip-kamakura.com
本覚寺の前を通過
スタート地点である「鎌倉婦人子供会館」(今回の集合場所&拠点)を出発し、鎌倉駅の方向へ進みます。
すぐに本覚寺の裏門が。本覚寺北側にある山門です。
立ち寄りはしませんでしたが、調べたところによると、石畳ではあるものの、車いすでも参拝・見学可能。多目的トイレもあるようです。
鎌倉駅東口前を通過
しばらくしてすぐに鎌倉駅の東口が見えてきました。
駅に隣接したトイレ。
向かって右側のピンク色が女子トイレ、左側のグリーンが男子トイレ、真ん中の黒い扉が多目的トイレです。
多目的トイレの中のようすを写真に収めようと思いましたが、使用中だったので断念。
そして、トイレとは反対側に隣接した観光案内所。
バリアフリーの観光情報もこちらで確認することができます。
もちろん入り口はバリアフリー。
車椅子で鎌倉観光に訪れた際には、まずこちらでいろいろ聞いてみるといいと思います。
東口から西口へは地下道で
東口から西口方面へ移動します。
駅の横を通る半地下の連絡通路を通りました。
トンネルの壁面はちょっとしたギャラリーになっています。
あとでご紹介しますが、帰り道は大きな踏切を渡ってきたのですが、車いすにとって踏切がどんなに危険を伴う場所か今回思い知りました。
なので、西口と東口を横断する場合はぜひこの地下道をおすすめ・・・
と言いたいところですが、この地下道も勾配があります。
介助者がいる場合はそこまでたいしたことはないですが、自走式の車椅子を自分でこいで通る場合にはちょっと厳しいかもしれません。
鎌倉駅西口前を通過
鎌倉駅西口駅前。
そしてだんだんと鎌倉の静かな住宅街へ入っていきました。
さすが鎌倉。どっしりとした高級そうなお宅が並びます。
細い道、そして坂道
住宅街は、細い道でしたが、車通りも少なく整備された舗装道路。
良い天気にも恵まれ、穏やかににこやかに進みました。
が・・・
だんだんと坂道になっていきました。
この写真は、わがチームリーダーが坂道途中でへばっているところ。
ですが、これ実はヤラセです。ほんとはまだ余裕のよっちゃん(笑)
車椅子トレインなんていうのもたのしんでみました▼
緩やかにみえますが、けっこうな上り坂です。
先頭は私の母です。たのしそう!
最後尾にリーダーが加わりましたが、『ほんとに押してる?』
さらに過酷な秘境へ
最初のトンネルを抜けたあたりから、周りにはお土産屋さんやカフェなどが見え始めました。
時には車が通ったり
脇には側溝があったり
この側溝、車いすにとって大きなバリア(障壁)でもあります。
見た目にはわからないかもしれませんが、道路が側溝に向かってゆるく傾斜しています。
なので、車椅子の車輪が自然とそっちに進んでいく。
このとき、「車いす体験」として車椅子に乗り、女子に押してもらっていた彼。
ふざけて側溝に落とすフリだと思って「こえ~ 冗談やめてよ~」と叫びましたが、
押していた女子は
「冗談じゃないんだって!まじめに勝手に車輪が吸い込まれていく!」
と、必死に抵抗していました。
その側溝にはカニがいたり(笑)
我らのミッションは鎌倉グルメだったので、ミッションを果たせそうなお店を探りつつ進みました。
でも、車椅子で入れそうなお店はなかなか・・・
一軒、このカフェはなんとか車椅子で入れそうかな。
結局、素通りしてしまったので、実際にどうかは確認せず進みました。
まだまだ続く坂道。
身長180センチ超えの彼を含むトレインは「重たい!!」
人力車やさんです。
人力車を引くこのお兄さんと、車いすを押す介助者は、なんとなしに通じ合うものがある(笑)
ここから本気の坂道!
リーダーが車椅子で自走してみる!と勇んでみましたが・・・
やっと!銭洗弁財天。
銭洗弁財天に到着!
ずうっっと坂道。なので、達成感あります!
『WheeLog!』の頭文字の「W」を手で表しているのですが、私の母もちゃんとできてる!!
母は身体の運動機能に障害があるので細かい指先の動きが苦手なのですが・・・
すごいなーちょっと感動。
入り口から銭を洗う場所まで難所は続く
今度は急な下り坂。
安全のため、後ろ向きに進みます。
鳥居を抜けて。
赤い鳥居も厳かでよいですが、この鳥居も清らかな落ち着きがあってよい。
いよいよ境内へ
スタート地点の鎌倉婦人子供会館を出たのが11時20分ぐらい。
ここに到着したのが12時10分。
1時間近く歩きました。
みんなで歩いたから楽しかった!
車椅子で銭を洗ってみる
さっそく。
リーダーが銭を洗うためにそそくさと進む(笑)
基本、石畳が続きます。ガタガタするけど難なくクリア。
段差あります!
なんと銭洗い場の寸前でちょっとした段差が。
介助がないと厳しい高さです。
やっと、やっと、
銭洗い場へ!
銭を洗う野心で胸が膨らむリーダー(笑)
銭、洗ってる!
車椅子に乗ったまま、しっかりと落ち着いて銭を洗っていきます。
前かがみになるので、一瞬つんのめって落ちそうになっていましたが持ちこたえる。
銭洗弁財天の売店とトイレ
鎌倉銭洗弁財天のトイレはこのような感じです▼
トイレは、残念なことにバリアフリーではありませんでした。
やっぱりここに車いすで訪れるという想定はされていないってことでしょうか。
売店はこのような感じ▼
こちらも車椅子で中まで入るのは厳しい。
ほしいものを眺めて、介助者に買ってきてもらう感じ。
「どら焼き抹茶アイス」と「みたらし団子」
ちょっとひと休み。ベンチもあります。
行きもキツいが帰りもキツい
鎌倉グルメのミッションを果たすため、鎌倉駅周辺に戻ります。
もと来た道を上から見たらこんな感じ。
当然、後ろ向きで進みます。
駐車場がこんなところに
行きに出会った人力車やさんが待機しているところまで後ろ向きにくだっていったとき、道をはさんで人力車やさんとは反対側の一段さがったところに、実は駐車場があったことに気づきました。
銭洗弁財天の専用駐車場です。
この駐車場、帰宅後にネットでよく調べてみたら「駐車台数は10台ほど。利用できるのは平日のみ。土日祝と巳の日は利用できません。ハイシーズンはいつもほぼ満車」とありました。
ということは、車椅子でここを訪れるとしたら、タクシーで来るのがベストかもしれません。
グルメを求めて小町通へ向かう
一行は、グループミッションであるグルメを求めて小町通りへ向かいました。
時間的にもちょうどランチタイム。
母の希望をとり入れて「しらす丼」が食べられるところを探してみることに。
「小町通り」手前の踏切を渡る
小町通りのすぐ手前に大きな踏切がありました。
そういえば、いつも車で移動することが多いので、母の車いすを押して踏切を渡った記憶がないのですが。
実際、渡ってみると怖い怖い。
車と人が、遮断機が上がったとたんに大移動する中で、それらをよけつつ、流れに乗りつつ、横断しなければなりません。
一番恐ろしいのは、前輪が線路のミゾにはまりやすいこと。
介助者はもちろん、自力走行の場合はさらに緊張します。
小町通りへ
小町通りはけっこうな人であふれていました。原宿竹下通りみたい。
裏の通りに入ったところに、ベビーカー、車いすOKなお店を発見!
でも、順番待ちの方がかなりいたので通過。
鎌倉土産といえば鳩サブレ。
小町通りよりも1本先にある大通りに出たら、すぐに見えてきたのが「豊島屋本店」。
きっと日本中のだれもが知る銘菓「鳩サブレ」のお店です。
広くて大きな店構えです。
豊島屋本店さんは、
バリアフリーをしっかりと意識されているのか、入り口は広く、店内までフラット。
時間に余裕がなかったので、鳩サブレだけ買ってバタバタと店を出てきてしまって、トイレの様子をチェックするのを忘れてしまいました。
ランチは【はんなりいなり】に決定
お昼ごはんの場所(時間がないので、簡単に、なおかつ車椅子でもOKなところ)をひたすら探して歩き回ります。
おっ?
なんか良さげなお店が。
「はんなりいなり」という、テイクアウトのお店。
奥に小さくイートインスペースが見えたので、車いすで入っても大丈夫か店員さんに確認。
テイクアウトコーナーから店内のイートインスペースへ入る境目のところに、10センチくらいの段差がありました。
手伝ってくれる店員さん。
頼んだメニューは
母「はんなりいなりの玉子焼き定食」 私「バラちらし」
玉子焼きは『ふわ!ぷる!』です。
どちらも上品な見た目ですが、かなりのボリューム!
しらすのお吸い物もついていて、とても美味しく頂きました。
さて、「はんなりいなり」店内のトイレの様子。
とても清潔で中もゆったりした感じのトイレでしたが、手すりはなく、入り口も車いすのまま入れる横幅がありません。
幸い、母は壁に手をついて立つことはどうにかできるので、私が母の脇を抱えて2人で一緒にトイレに入り、順番に用を済ませました。(笑)
ゴールへ!!!
この班行動には時間制限があって、ランチを食べ始めた時点でタイムリミットの20分前で。
私たちの班は、15分以上遅刻してのゴール。
しかも、街歩きで得た情報をアプリに投稿し、その内容をミッションと照らし合わせて得点を審査されるというのに、それらのいろいろが間に合わず。
ほとんど得点が加算されずに終わってしまい入賞を逃す・・・
ということで、可愛い特製パーカーなどの豪華賞品はゲットできずに終わりました。
でも!!
廣瀬さんと記念写真!!!
車椅子での外出が不安な方に
車いすを利用されている方、そして介助者にとっても、外出するには少なからず不安がありますよね。
【WheeLog!(ウィーログ)】というアプリは、その不安を少しでも解消するために、とても大きな役割を果たすツールです。
誰かの情報で、安心して一歩踏み出せます。
自分の知っている情報が、誰かの役に立ちます。
Twitterのような「つぶやき」機能もあるので、
車いすを利用していて気づいたことを投稿して「いいね!」がついたり、
困ったことやわからないことを質問したら誰かが答えてくれます。
アプリを通してつながった方たちに触発されて、車いすでの外出の世界が広がります。
今回このワークショップに参加して、母は、私と二人で出かける旅行とはまた違った充実感を感じているように見えました。
参加者は、車椅子ユーザーはもちろん、健常者の方もいます。
私の班のリーダーのような理学療法士さんだったり、私のような家族だったり。
当たり前かもしれませんが、車いす利用に知識や理解のある方ばかりで、安心して一緒に行動できたことも大きかったと思います。
不安があって、車いすでの旅行や観光に一歩踏み出せない人にこそ、
こんなイベントに参加して、心強いメンバーと一緒に街歩きをおすすめしたいです。
車いす街歩き - WheeLog!
バリアを知り バリアを越える 車いす街歩きプログラム about 車いす街歩きプログラムとは 車いすに乗って街のバリアや ...
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