障害者手帳をお持ちの方が旅行に出かけるときに活用したい制度に「障害者割引制度」があります。
障害者割引は、手帳をお持ちの方がJRやその他の鉄道機関、飛行機、タクシー、各種施設など、さまざまなところで割引きを受けることができるサービスです。
そのような割引制度があることは知っていても、実際にはどのように利用するのか具体的にはわからないことも多いですよね。
今回はとくに、JR・新幹線の障害者割引はどのようにしたら利用できるのか、実際の経験をもとにご紹介したいと思います。
どうすれば新幹線の障害者割引が使えるの?
障害者で車椅子利用の母との旅行で、実際に障害者割引で新幹線を利用してみました。
- 障害者割引をどうやって使うのか
- 障害者割引でどれくらい割引きされるのか
利用してみたらとてもありがたい制度だったので、具体的に説明したいと思います。
JRの障害者割引制度って?
そもそもJRの障害者割引制度ってどんな内容かご存じですか?
障害者手帳をお持ちの方は、絶対に確認しておいたほうがいい制度です!
障害者割引が適用される条件
JRの障害者割引制度を利用するには条件があります。
障害者割引が適用される条件
- 障害者手帳を持っていること
- 障害者手帳の旅客鉄道株式会社運賃減額の欄に1種または2種の記載があること
具体的にはこのような感じです(実際の母の障害者手帳)▼
そのうえで、「第1種」の記載のある方は、手帳をお持ちの本人だけでなく介護者も乗車券の割引きを受けることができます。
ご旅行される片道の営業キロが100キロメートルを超える場合に発売いたします。
- おひとりでご利用の際、片道の営業キロが100キロメートルまでの場合は割引いたしません。
- 「手帳」に「第1種」の記載があるお客様に同伴の介護者がいらっしゃる場合は、介護者の方も割引いたします。また、介護者がいらっしゃる場合は、片道の営業キロが100キロメートル以内であっても割引いたします。
- 「手帳」に「第2種」の記載があるお客様の場合、同伴の介護者には割引いたしません。
引用:JRおでかけネット
いくらぐらい割引きされるの?
JRの障害者割引は、新幹線や列車の乗車券の購入が5割引になるサービスです。
身体障がい者および知的障がい者のお客様が、次の条件を満たしてご利用になる場合、運賃および普通急行料金が割引(5割引)になります。
普通乗車券:ご旅行される片道の営業キロが100キロメートルを超える場合に発売いたします。
「手帳」に「第1種」の記載があるお客様に同伴の介護者がいらっしゃる場合は、介護者の方も割引いたします。また、介護者がいらっしゃる場合は、片道の営業キロが100キロメートル以内であっても割引いたします。引用:JRおでかけネット
ひとつ誤解されやすい注意点があるのですが、
新幹線に乗るには「普通乗車券」と「特急乗車券」が必要で、障害者割引が適用されるのは「普通乗車券」のみです。
それでもこの割引が大きいことはたしかです。
たとえば、健常者が東京駅から金沢駅まで新幹線を利用すると、通常なら片道14,580円のところを、10,840円 で利用することができるんです。
往復にするとけっこうな金額が割引されますよね。
一般の方の場合(東京から金沢への新幹線片道運賃)
- 普通乗車券 ➔ 7,480円
- 特急指定席 ➔ 7,100円
合計で14,580円
障害者割引を利用した場合(東京から金沢への新幹線片道運賃)
- 普通乗車券 ➔ 3,740円(7,480円の5割引)
- 特急指定席 ➔ 7,100円
合計で10,840円
片道でおよそ4,000円の違いがあるので、単純に往復で2倍と考えると8,000円近い金額が割引になります。
ビジネスホテルに素泊まり1泊できるぶんくらいの金額ですよね。
そして上記の「JRおでかけネット」引用文の中にも記載されているように、母の場合は障害者手帳に「第1種」の記載があるので、同伴の介護者の私も同様の割引が適用されます。
とてもありがたい制度なので、今回私たちももれなく利用させていただきました。
実際に障害者割引を使って新幹線のきっぷを購入する
障害者手帳に第1種もしくは第2種の記載があれば、新幹線の乗車券の割引制度が受けられることがわかったけれど、では実際の購入方法はというと、
- 基本窓口で購入すること!
- 障害者手帳を提示すること! 手帳はコピーではダメ!原本が必要
障害者割引を利用する場合は 窓口で購入が基本
障害者割引を使って新幹線に乗るための乗車券は、券売機ではなくて窓口で駅員さんに障害者手帳を提示して乗車券を発券してもらいます。
ただ少しややこしくなるのですが、100㎞までの乗車券に関しては、券売機で小児用乗車券を購入して駅員さんのいる改札口で手帳を提示することで5割引を適用できます。(たとえば都内在住の方で最寄駅から東京駅までの乗車券など)
身体障害者割引、知的障害者割引の乗車券類は、駅の窓口で発売いたします。この際、「手帳」を係員にご呈示下さい(「手帳」のコピーなどではご購入いただけません)。
100キロメートルまでの普通乗車券に限り、本人と介護者の2人分を自動券売機で小児用乗車券をご購入(割引乗車券の代用)いただけますが、この際、必ず係員のいる改札口をお通りいただき「手帳」をご呈示ください(「手帳」により使用資格などを確認させていただきます)。
引用:JRおでかけネット
※もし本人が窓口に行って購入することが困難な場合は、介護者等が代理で割引きを使って購入することも可能。ただし、その場合にも障害者手帳のコピーではなく原本の提示が必要となります。
ネットでの購入について
ネットで新幹線の指定席予約をする場合にも、障害者割引は適応されます。
Q.えきねっとで「身体障害者割引」は利用できますか。
A.ご利用いただけます。
「えきねっと」にて指定席をお申込みいただき、きっぷのお受取り時に「身体障害者手帳」を窓口にてご提示ください。
※「えきねっと」でお申込みいただいたきっぷをお受取りの際には、お申込み確認のためにクレジットカードが必要になりますので、お申込み時点でのご登録クレジットカードを必ずお持ちください。
この場合は、予約した新幹線の切符をみどりの窓口で受け取るのですが、その際に身体障害者手帳の提示が必要になります。
このときにも、申し込みも受け取りも介護者の代理人でも可能ですが、手帳のコピーではダメなので注意してください。
それと、ネット予約申し込み時に登録したクレジットカードも必要(割引き分の払い戻しがあるため)なので、切符受け取り時には忘れずに持っていきます。
みどりの窓口で障害者割引を使ってきっぷを購入する
で、実際私の場合はどうしたかというと・・・
車椅子で電車に乗って出かけてみる
旅行を計画するのにいろいろ調べていて、この新幹線のネット予約ができることがわかったのですが、ネットで指定席の切符を予約したからといって、スマホをかざしてピッと改札を通れるわけではないんですね。
一瞬、航空券のチケットレスサービスみたいなことを連想してしまったのですが、結局のところ乗車券はみどりの窓口で障害者手帳を提示して割引きをうけて受け取ります。その、みどりの窓口がわりと混雑していることが多く、場合によってはかなり時間がかかることもあるということがわかりました。
ネットで指定席の予約をしておいて、当日の出発時にみどりの窓口できっぷを受け取ることもできますが、初心者の私たちはどれだけ時間を見込めばいいのか不安でした。
もともと新幹線のこともよくわからなかったので、母を連れて、電車を使って最寄りのみどりの窓口まで直接行って予約することにしました。
母と私は、出かけるのはいつも車で、もともと車椅子で電車に乗ったことがなかったので、練習もかねて、母の家の最寄駅からJRに乗り、2駅先のみどりの窓口がある駅まで車椅子で出かけました。
この時にも、もちろんきっぷは障害者割引を利用して、駅員さんの介助サービスをお願いしました。
駅での介助サービスを体験
介助サービスは、出発駅では駅員さんが折り畳みのスロープを持って乗車口まで案内し、乗車時にスロープを開いて設置して、乗り込みやすいように周囲の乗客の方に声かけしながら私たちを誘導してくれます。
降車駅では、連絡を受けた降車駅の駅員さんがすでに私たちが乗っている車両の降車口の前で待機してくれていて、乗車時と同じように折り畳みのスロープを開いて誘導してくれました。
この見事な連係プレー、ほんとうにありがたくて感動してしまいました。
そして、車で出かけるより不便なところはあるし駅員さんや周りの方にも手間やご迷惑をかけてしまうこともあるけれど、電車も悪くないなとあらためて思いました。
みどりの窓口なら初心者でも安心で確実
私は、みどりの窓口に行ったのはおそらくこれが初めてだったと思います。
みどりの窓口はいつもわりと混んでいるそうで、私が行った時も順番待ちの列ができていました。30分以上待ったのではないかと思います。
順番が来て、希望日と目的地(このときは「〇月〇日に新幹線に乗って金沢に行き、〇月〇日に高山駅出発で帰ってくる予定」)を駅員さんに告げ、車椅子で行くことと障害者割引を利用したいことも話しました。
そうして、到着を予定している時刻や、帰りは何時ごろにはこちらに着きたいなど、駅員さんと確認しながら乗車する新幹線を決めました。
今回の私たちの場合は、行きは東京駅から金沢駅まで北陸新幹線で行きますが、途中レンタカーで移動して、帰りは高山駅から特急で名古屋まで行き、東海道新幹線に乗り換えて帰ってくるというコースだったので、その乗り換えも駅員さんが希望の到着時間に合わせて組み立ててくれました。
行き帰り別の新幹線と帰りの名古屋までの特急、それぞれに車椅子専用席指定の手配をしてもらって、障害者割引の手続きもあったりで、けっこう時間がかかりました。
待ち時間も含めて2時間ぐらいかかったと思います。何かの確認(おそらく車椅子専用席の空きの確認)が混みあっていて承認がとれないとかで、待っている時間がけっこう長かったです。
それと、車椅子のサイズを聞かれます。あらかじめ旅行で使う車椅子のサイズを確認しておくほうがベターだと思います。私のときは「この、一般的な車椅子のサイズです」と、母の座っている車椅子を見てもらいましたがダメで(笑)、帰宅してからサイズを測って電話で伝えることになりました。
そんなこんなで、時間と手間はかかりましたが、旅行前の、車椅子で電車に乗る良い練習になってよかったと思います。
そして駅員さんが入念に時間を調べて確実に手配をしてくださったので、安心してきっぷを受け取ることができました。(ちなみに、駅員さんもみどりの窓口のパソコンの前であの分厚い本の時刻表を開いて出発時刻と到着時刻を調べていたのでちょっと驚きました)
障害者割引で乗る新幹線 当日あわてないために
まとめると
新幹線のきっぷ購入で障害者割引を利用するためには、窓口での障害者手帳の確認が必要になります。
適用されるのは乗車券のみなので、旅行当日でも割引きを使ってきっぷを購入できますが、予想外に受け取りに時間がかかることも想定されるので、車椅子専用席の指定と同時に購入して、当日はきっぷを持って出かけるだけにしておいたほうがいいです。
次は、車椅子で新幹線に乗る際に知っておいたほうがいいことについて、少し説明したいと思います。
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