金沢から五箇山合掌造り集落、そして今回の旅行の一番の目的「車いすで利用の母と白川郷を旅行する」という目的を無事達成。
車いす利用の母と二人きりの旅行は今回が初めてで、たくさんの不安もありました。
でも、新幹線も、金沢での宿泊も、白川郷も順調で、車いす同行の旅行でもこんなに楽しめていることが自分でも予想外なくらいでした。
金沢で泊まったホテル バリアフリールームの様子はこちら▼
宿泊記【金沢のホテルのバリアフリールーム】車椅子で金沢・白川郷・飛騨高山旅行
写真提供;金沢市 金沢のホテルのバリアフリールームに宿泊 車いすの母を連れて「金沢・白川郷・飛騨高山旅行」1日目の夜。 ...
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2日目の宿泊先は岐阜県高山市にある「高山桜庵」というホテル
貸し切りの温泉風呂があるので、車いすの母も温泉に浸かれるのではと思って予約しました。
結果、高山市内を一望する景色の良い半露天の温泉を貸し切り。母と二人でゆっくり浸かることができました。
眺めも良くて、雰囲気もあって、サービスも良かったです。
ホテルのスタッフの方もとても親切で、金沢に引き続きとても良いホテルにめぐり会えてラッキーだと思いました。
このホテルでは、バリアフリーの部屋ではなくて一般の部屋に宿泊したので、やっぱり少し不便なところもありました。
その様子なども含めて紹介します。
高山へ向かいレンタカーを乗り捨て返却
白川郷を出るときに、レンタカーを返却する店舗の「高山駅前店」にナビを設定。
レンタカーの返却店舗と今夜宿泊するホテルはすぐ近くなので、まずレンタカーを返却してから歩いてホテルに向かいます。
レンタカーのナビには返却店舗が登録されているので、簡単にセットできました。
白川郷から高山駅前の返却店舗へは1時間ちょっと。
夕方4時半すぎに白川郷の展望台を出発して6時前にレンタカーを返却できました。平日の帰宅ラッシュの時間帯なので途中多少混んでいるような道もありましたが、迷うことなく順調に到着しました。
それでも返却の期限がたしか7時までだったので、タイムリミットわりとギリギリ。
兼六園、五箇山、白川郷とゆっくりまわってきたので、これでもしも朝、ホテルのチェックアウトの時間ぎりぎりまでホテルでのんびりしていたら、けっこう厳しかったかもしれません。朝は早めに出発して正解だったと思いました。
高山駅から徒歩5分ぐらいのホテルに到着
高山駅近くのレンタカー返却店舗から歩いてホテルに到着しました。歩いて5分ぐらい。
貸し切り温泉風呂のある「高山桜庵」というホテルです。
ホテルは全館畳張りです
「高山桜庵」は、フロントで受付を済ませたらすぐに下駄箱があって靴を預けます。
そこから全館畳張りで、畳の廊下が続いています。
母は車いすのまま、スタッフの方が車輪をきれいに拭いてくださって、そのまま押してエレベーターで部屋へ案内されました。
室内への車いすの乗り入れはできないとのことだったので、部屋のドアを入ったところのスペースに車いすを畳んでおきました。
ローベッドタイプの畳の部屋
入ってすぐの右側にトイレとシャワースペースがあり、正面はふすま。
ふすまの奥に、畳の部屋が続いています。
手前すぐにベッド。
ベッドは、一般的なベッドと布団の間をとったようなローベッドタイプになっています。
そのまた奥にテレビやちゃぶ台のようなテーブルと座布団があります。
室内はお尻で移動
車いすから降りた母は、お尻をついて移動しました。
両足を前に伸ばした状態で座り、両手を床についてお尻を持ち上げてひざを曲げて進み、また両手をついてお尻を持ち上げて・・・というふうに進みます。
いつも自宅では、キッチンやトイレに移動するときは歩行器を使って移動しています。
それ以外に部屋の中は椅子か、畳の部屋にじかに座っている(座椅子利用)ことが多いので、じかに座っていて物をとりに移動するときなどはこのお尻をつく形で移動します。
実際にこの部屋でも、移動するのはトイレに行くときぐらいで、母も「ぜんぜん大丈夫」と足を伸ばしてくつろいでいました。
トイレはバリアフリー対応ではない
昨日の金沢のホテルはユニバーサルツインというバリアフリー対応の部屋だったので、トイレは車いす用に手すりがついていましたが、このホテルは一般の部屋を予約してあったので、もちろんトイレもバリアフリー対応ではなく手すりなどはありませんでした。
車椅子も入り口のドアのところで畳んでおいてある状態なので、母はお尻で移動していって、両わきの壁に手をついたり、つかまり立ちで立ち上がりトイレを済ませたという感じでした。
危ないので気をつけていましたが、母は、普段トイレの一連の作業は自分一人でできているので、やはり介助はできることならされたくないんですね。
母のような場合や、つかまり立ちができるぐらいの歩行困難者なら、車いすごと入るスペースのないトイレでも、手すりがあるだけでかなり安定して使いやすくなります。
今回のホテルに限らず、すべてのホテルや旅館で、後付けでもできることなので、全部屋のトイレの手すりの設置が実現すればいいのにと心から思います。
実際にはこのホテルにもバリアフリー対応の部屋があります。
そのときの私はバリアフリー対応の部屋について無知で、それでも母はこの一般の部屋でなんとかなっていましたが、今なら絶対にバリアフリー対応の部屋を選びます。
車椅子の母も入れた貸切り温泉風呂
ホテルに到着してフロントでチェックインしたときに、ホテルの女将さんが「お食事前の時間のほうが貸切風呂が比較的空いているので、すぐご案内できるように手配しましょうか」と露天風呂の係の方に連絡をしてくれました。
部屋について荷物を整理して、ひと段落。30分ほどくつろいだころに「お風呂の準備ができましたので」と部屋の内線電話で知らせてくれました。
3つある貸切風呂のうちひのきのお風呂「東錦」
ホテルの最上階にエレベーターで移動してお風呂のフロアにいくと、貸切風呂担当の女性のスタッフの方がすぐに迎えてくれて、3つある貸切風呂のうちの1つに案内してくれました。
レンガ造りの「枝垂(しだれ)」、岩風呂の「白雪(しらゆき)」、檜風呂の「東錦(あずまにしき)」という3つの貸切風呂があり、私たちは檜風呂の東錦の部屋に案内されました。
「1時間ぐらいは大丈夫なので、安心してごゆっくりしてください」と言って、バスタオルも余分に必要だろうからと、多めに手渡してくれました。
本来は、この貸切風呂は一応時間制限があって1組30分とされていましたが、スタッフの心遣いでゆっくりくつろぐことができました。
「何かお手伝いしましょうか」「もっとタオルお持ちしましょうか」「ご遠慮なく声かけてくださいね」などとても気さくな感じで声をかけてくださる方だったので、安心してお風呂でくつろぐことができました。
洗い場はヒノキの床 母はお尻をついて移動
母の場合、洗い場から湯舟につかるまでの移動も、足を前に出して座って、お尻と手を交互に下について移動します。
洗い場の床や湯舟の肌当たりがゴツゴツしている岩風呂だったら変更を相談しようと思っていたのですが、スタッフの方の気遣いなのか、ひのきのお風呂に案内されたのでひとまず安心しました。
脱衣所は、車いすごと入っても余裕で着替えができるくらいの広さがありました。
2人とも服を脱いで、車椅子の背もたれから座面にふわっとバスタオルをかぶせておきました。お風呂からあがったときに体の水分をとるための準備です。
母はお尻と手を交互につきながら脱衣所から洗い場に移動。
シャワーの前にあった椅子に座り替えてシャンプーして身体を洗っていました。
この椅子は、よく温泉にあるような小さな木製のお風呂用の椅子で、背もたれ付きのシャワーチェアではないので、母は下にじかに座って身体を洗うようかなと勝手に思っていました。
でも、うまく腰を上げて椅子に座っていたので、私もちょっと驚きました。
このあたりは、車いす利用の方がどのくらい身体を動かせるかによって違うと思うので、シャワーチェアがないと厳しい場合も多々あると思います。
母ももしかしたら、温泉に入れることにテンションが上がって思わぬ力が発揮できたことで、普通のお風呂の椅子に腰かけることができただけかもしれません。
それぐらい私には予想以上のことでした。
同時に、車いす利用の宿泊客用にシャワーチェアの準備もあると非常に助かるなあと改めて思ったりもしました。
ゆったりしたヒノキの湯舟ときれいな高山の夜景
ヒノキのいい香りの湯舟は、2人がゆったり足を伸ばしてもまだゆとりがあるくらいの広さがありました。
湯舟に入ってすぐのところは、腰かけられるように床が1段高くなっていて、その先はちょっと深めになっています。
母は最初、少し怖かったようで、ずっと浅いところで腰かけて浸かっていました。
「足元が滑りやすくなっておりますのでお気を付けください」とお風呂の注意書きの立て札が設置してありました。
母はこのすべりやすさで、つるんと滑ってしまうのが怖かったようです。
でも、湯舟の端につかまって、ゆっくり慎重に移動して、最終的にはすっぽりお湯につかっていました。
寝そべって浸かりながら眺める夜景
夜景がほんとうにきれいでした。
半露天風呂なので、心地よい風も入ってきて、いつまでも浸かっていられそうでした。
この日は一日天気も良かったので、星空がとてもきれいでした。
屋根があるので、雨天だったとしても入れます。
母は「はあ~気持ちいいねえ」と何度も言って、久しぶりに温泉に浸かれたことをとても喜んでくれていました。
ホテルの作務衣と足袋ソックス
母はまたお尻で移動して、脱衣所ぎりぎりのところにスタンバイしてあったバスタオルで座席を覆った車椅子に座って身体を拭きました。
いま思えば、湯舟のところまで車いすを入れてしまって湯舟から直接車いすに移動してもよかったかもしれません。
無事に上がって体を拭いて、2人ともホテルで用意されている作務衣に着がえました。
靴下も用意されていて、足袋ソックスでした(笑)。
母はこの靴下がとても気に入って、しかもお持ち帰り自由とのことだったので、帰りは忘れずにバッグにしまっていました。
食事は飛騨牛朴葉味噌焼きとハーフバイキング形式
貸切風呂でゆっくりした後は、お食事処での夕食。
メインの飛騨牛の朴葉味噌焼きのほかに、好きなものを好きなだけ食べられるハーフバイキング形式のメニューになっていました。
朴葉味噌焼き用のお肉の量が半端なかったので(笑)、ビュッフェは何種類かをほんの一口ずつにしても、とにかく食べきれないくらいのボリュームで。
ビュッフェコーナーでは板前さんが目の前で揚げている天ぷらが美味しそうだったのに、おなか一杯になってしまってたどり着けませんでした(泣)
でも、デザートは別腹。
大浴場と露天風呂もあります
3つの貸切風呂があるフロアと同じ階に、大浴場もあります。
母が部屋でのんびりしているときに、私は一人で大浴場にも行ってきました。
こちらも広くてゆったりしていて良かったです。
実は翌日の早朝にもこの大浴場で一風呂浴びたのですが(笑)
大浴場にある露天風呂は、貸切風呂の半露天の夜景とはまた違って、開放的で朝の眺めと風がほんとうに気持ち良かったです。
車いすの母と一緒に貸切風呂でゆっくり温泉につかれました
今回の旅行で一番の難所かもしれないと思っていた温泉。
何とかなるだろうと、半ば自分に言い聞かせるような感じで旅行の計画を立てましたが、もし入れなかったら母をがっかりさせてしまうかなと不安でもありました。
もしも「足元が不安で怖いから温泉には入れない」と言い出したらどうしようとか、物理的にやっぱり無理とかなったらどうしようという不安が旅行中いつもありました。
母にとって、温泉につかるのはほんとうにずいぶん久しぶりで、もしかしたら諦めていたことかもしれません。
でも、ホテルの方のサポートもあり、意外に難なくクリアできて私もホッとしました。
こうして貸切のお風呂なら、多少手こずることがあっても、周りに気兼ねすることもありません。
予算に余裕があるのなら、個室に露天風呂のあるタイプの宿を選べばより自由に快適に過ごせると思います。
今回はできるだけ低予算で個室のお風呂に入れるところを探していたので、こちらのホテルでとてもリーズナブルな料金でこのお風呂に入れたのはかなりお得でした。
ひとつ、いま思うと「コレがあれば絶対に良かったな」と思うもの▼
浴室用の滑り止めマットです。
母は、浴室内をお尻で移動するので、このマットをお尻の下に敷いてあげればもっと快適だったと思います。
旅行先へもたたんで荷物の中に入れておけます。
車いすで歩行困難だとしても、ちょっとした小道具でかなり過ごしやすさが違うものです。
これからの時代、きっと車いす利用の高齢者や障がい者ももっと気軽に旅行できる時代に変わっていく、というか、変わっていってほしい・・・。
そのときには、大々的なバリアフリーの設備でなくても、こうした小さな少しの工夫だけでも、利用者の範囲が広がると思いました。
もしかしたら、宿には準備があって、相談すれば何か変わったのかもしれません。
そのときの私は、母を連れてのはじめての旅行で、車いすで何かホテルの方に迷惑をかけてしまうのも申しわけないという気持ちがどこかにあって、こちらから色々なことをお願いしたり相談するのも気が引けてしまっていました。
「自分で何とかしなくては」という気持ちがどこかにありました。
いま思うと、予約の段階から、もっとちゃんと宿の方とコミュニケーションをとって、こちらの状況とホテルの準備や設備などをちゃんと確認しておいたらよかったなと思っています。
たまたま今回は母もうまく順応できていて、私は私で「ダメ元で挑戦して、ダメな部分はほかのところ(観光や食事など)で楽しさを補えればいいかな」などと思っていたので、その割には色々なことがうまくいったので良かったです。
ただ、ほんとうに人によって感じ方や行動できる範囲が違うので、あらかじめ宿泊先に連絡をとって直接確認は必ずしておいたほうがいいです。
今回宿泊した「高山桜庵」というホテルはこちらです▼
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※ご予約の際は、バリアフリールーム希望であることを備考欄やメッセージ欄、メール、電話等で宿に必ず連絡してください。
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