![分身ロボットカフェ『DAWN』](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-1.jpg)
分身ロボットカフェをご存知ですか?
最新鋭の冷たいアンドロイドかと思いきや、実はとてもアナログかもしれない心温まるカフェ。
このカフェの様子と、行き帰りの電車の珍道中のお話です。
珍道中は、電車に乗って車いすでのお出かけを考えている方に、失敗例も含めなにかお役に立てれば嬉しいです。
分身ロボットカフェとは?
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-2.jpg)
『分身ロボットカフェ DAWN』
その名の通り、分身ロボットが接客するカフェです。
DAWNは、ドーンと読みます。Diverse(多様な) Avatar(分身) Working(働く) Networkの頭文字をとっています。
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分身ロボットカフェ DAWN 2021 - AVATAR ROBOT CAFE DAWN 2021
「分身ロボットカフェ」とは、株式会社オリィ研究所が主宰・運営する、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が、分身ロボ ...
dawn2021.orylab.com
分身ロボットって、そう聞くと、なんだか無人の無機質な冷たい対応を想像するかもしれません。私も、初めてこのネーミングを聞いたときにはそんなイメージでした。
しかーし!実際にはまったく逆!!
温かく、熱く、心通う、おそらく世界でいちばん「人間」を感じさせてくれるカフェでした。
遠隔操作の中の人
この分身ロボットのいわゆる「中の人」は、
障害や病気、育児などで通常の仕事に就くことが難しい方々が、自宅から遠隔操作しています。
ロボットを操縦するので『パイロット』という呼び方をされています。
北海道や青森から、はたまた海外の方も!
その自宅の、場合によっては寝たきりのベッドの上から、パソコンを使ってロボットを操縦するパイロットさんなのです。
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OriHime パイロット紹介 | 分身ロボットカフェ DAWN 2021
分身ロボットカフェDAWN ver.β にて接客を担当するパイロット紹介
dawn2021.orylab.com
電車で行きました!
都内の日本橋にお店があります。
車いすの母との外出は、できれば車で出かけたい派ですが、
どこに駐車場があるかもわからない、駐車できたとしても恐ろしく駐車料金がかかりそうなので、電車で行きました。
車いすユーザーの母と乗る電車は事前の準備が重要!
遠出となると未だに不安がたくさんあります。
とくに電車、さらには初めて訪れる場所は不安度MAX。
方向音痴でなおかつ地図の読めない女の私が、車いすの母を連れて、予約時間までに目的地に到着しなければならない。
下調べと事前連絡は必須です!
なるべく乗り換えを少なく!
母と乗る電車は何が大変って、乗り換えです。
電車を乗り継ぐそのたびに、非常に時間がかかることが多い。
なので、できる限り乗り換えの少ないルートを乗換案内アプリで調べます。
お店に一番近い「JR新日本橋駅」だと、一度か二度、乗り換えが必要。
駅からはちょっと歩くけど、乗換なしでで行ける「神田駅」で降りるルートを選択しました。
JR東日本のお客様窓口に電話する
前日に、「JR東日本お問い合わせセンター(050-2016-1600)」に電話をかけました。
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https://www.jreast.co.jp/info/
www.jreast.co.jp
車いすの同行者がいて、明日の○○時○○分発の東京行きの電車に○○駅から乗り、神田駅でおりたいんですが…
という感じで伝えます。
神田駅は初めて行くところなので、駅員さんの介助をお願いしました。
乗車駅は最寄り駅で、何度か利用したことがあります。
車内に車いす用のスペースがある車両を聞いておきました。
「先頭車両に乗ってください」とのこと。
東京メトロお客様窓口にも電話する
カフェのあと、あるイベントに参加する予定があり、行きとは違うルートで地下鉄を利用する必要がありました。
なので、「東京メトロお客様センター(0120-104-106)」にも電話をかけて、駅の経路と介助について問い合わせをしました。
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お問い合わせ|東京メトロ
東京メトロのお問い合わせページ。お客様からよくいただくご質問やお客様センターへのお問い合わせ先、改善・施策の展開事例等を ...
www.tokyometro.jp
こちらは何分発の電車というところまで決まっていなかったので、目的地に最適なルートなどを確認。
電話を切る間際、その窓口の方から
念のため、ご利用予定の小伝馬町駅の電話番号をお伝えしておきますね。何かあったらこちらへ電話してみてください
と言われるままにメモした電話番号。
なんとこれが! 当日の私を救ってくれるとは!!
窓口の職員さん、予知能力があったのかもしれない…
いざ出発!
当日は、天気予報どおりの快晴でお出かけ日和。
昨日の電話で「10時10分に窓口に来てください」と言われていたのですが、はやる気持ちで、20分も前に到着してしまいました。
なんと駅の改札窓口はシャッターがおりていて、無人駅のような状態に。
![駅の窓口のシャッターが下りていて無人駅状態](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-10.jpg)
他にも車椅子ユーザーが
そのシャッターが降りた窓口の前で、若い男性の車椅子ユーザーが困惑している。
彼の目の前には「御用の方はインターホンを」との立て札があるのですが、インターホンが見つからない様子です。
一緒に探して、自動ドアの向う側にあるインターホンを見つけて押したらシャッターが開きました。
![インターフォン対応のお知らせの立て札トインターフォン](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-11.jpg)
駅員さんのパニック
偶然なのですが、その車いすの男性も、私たちと同じ神田で降りるとのこと。
彼が先に改札を済ませ入っていった後、駅員さんが連携連絡のために電話をかけています。
ええ?こっちも私一人なんでね!なのに2組いるんですよ!
お願いしますよ、いやぁ参ったなぁ
とかなんとか言っています。私には丸聞こえ!
どうやら駅にはこの駅員さん一人しかいないようです。
「いやぁ参ったなぁ」って!
不安です…
こっちだって「いやいや、参ったな、、、」
無事に乗り込む
不安を煽られつつも、介助のスロープを出してもらい安全に電車に乗り込むことができました。
![電車の車椅子・ベビーカー用スペース](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-26.jpg)
偶然に同じ駅に向かう単独車いすの青年と少しの会話をたのしみつついたら(彼は就活の最終面接に向かうと言っていました)、途中の駅でさらに1組の車椅子ユーザーが登場しました。
車いすの方とそのお友達のようです。
乗ってきた瞬間に、すでにもう2台の車いすがあることに驚いていました。こっちも驚きました。
その後ベビーカーも3組ぐらい乗ってきたので、車いすとベビーカーの優先スペースからあふれ、駐輪場みたいに車輪だらけになりました(笑)
神田駅到着
神田駅に到着。
乗車駅ではかなり嫌な感じのする連携連絡でしたが、ちゃんと乗車している車両のドアの外で介助の駅員さんが待機していてくれて、難なく降車。
ここで改札の駅員さんに目的地のカフェの地図をスマホで見せて道順を確認。
その後、改札を出たとたんに方角がわからなくなって、また交番で道順を確認。
![遠くに見えるスカイツリー](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-7-1.jpg)
ただただ真っすぐ進んで一回左折するだけなのに、
何度も遠慮なく人に道を尋ね、無事に目的地に到着しました。
無事到着!分身ロボットカフェ!
ずいぶん道中についてを長々と説明してしまいましたが!
車いすでお出かけするときに、私はだいたいこんな感じです、でもなんとかなりますってことを伝えたいです(笑)
ロボットがお出迎え
店内に入ると、当たり前だけど生身?のスタッフの方がいて「ご予約のお客様ですか」と声をかけられました。
その横で、母がロボットと向き合い、凝視している(笑)
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-3.jpg)
そのパイロットさんは青森(だったかな)から操作しているそうで
すぐになじんでおしゃべりしてました。
卓上のロボット
私たちが案内されたテーブルの卓上型ロボット。
パイロット(遠隔操作している中の人)は「おおのっち」さんです。
脊髄損傷のため電動車椅子で生活されていて、埼玉県のご自宅から操作しているとのこと。
![分身ロボットカフェ『DAWN』おおのっちさん](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-6.jpg)
前職は飲食業で、その経験を活かせればとパイロットに応募したそうです。
優しい声で、とても穏やかな感じのする男性です。
メニュー紹介
おおのっちさんがメニューについての説明をしてくれます。
![分身ロボットカフェ『DAWN』メニューを紹介してくれるおおのっちさん](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-8.jpg)
すべておしゃれなワンプレートのお料理で、ローストビーフがイチオシだそうです。
私はそのローストビーフの『ロービープレート』、母は『シャケと季節野菜のクリームシチュー』をオーダー。
パイロットさんとの会話をたのしむ、つもりが…
パイロットさんとのおしゃべりを楽しみつつオーダーしたお料理が届くの待つ。
そのようなゆったりした時間を過ごすつもりが、もう私のテンションがMAXに到達(笑)
写真撮りたいし、動画も撮りたいし、おしゃべりしたいし!
母がこの状況にちゃんとついてこれているのか、そこも気になる。
私はただただ注意散漫で、慌ただしくて、ついにはコーヒー用のミルクをこぼすという失態をさらす(泣)
エンターテイメントなお食事空間
それからもワクワクの興奮状態は続き
運ばれてきたお料理も 映える! 美味しい! そしてボリューミー!!
![分身ロボットカフェDAWNの『ロービープレート』と『シャケと季節野菜のクリームシチュー』](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-8-1.jpg)
ロービープレートのお肉はけっこうな分厚さです。
オーダーするとき「大盛りもできますよ」とおおのっちさんに説明されて一瞬迷いましたが、危ない危ない。
最近は一度にたくさんは食べれなくなってきた(歳のせい)私には十分すぎるボリュームでした。
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-18.jpg)
OriHimeタイプD
ちなみに、お料理は生身(笑)のスタッフさんが運んでくれますが、ドリンクは「OriHimeタイプD」というロボットが運んでくれます。
こちらのパイロット(中の人)はくどぅさん。
壁には巨大モニター
奥の壁には巨大なモニターがありました。
![分身ロボットカフェDAWNの巨大モニター](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-9.jpg)
「ショータイム!」みたいな感じで、パイロット紹介の配信が始まりました。
今回は、岡山県在住のホッシーさん。
おおのっちさんと同じく電動車いすユーザーだそうです。
一番の失敗、それは
いろいろなところで様々な失敗をおかす私ですが、今回のとくに大失敗だと思う点は「カメラとの距離感」です!
私にはもう、分身ロボットが「おおのっちさん」にしか見えなくなっていて、ロボットからの声が周りの音と被って聞こえづらかったとき、ついロボットの口元に耳を近づけてしまったんです。
が、、、後から冷静になって気づきました。 声はスピーカーから出ている!
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-121.jpg)
カメラはおでこに
逆に、ロボットにはカメラがついています。おでこの部分にです。
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-13.jpg)
つまり、私がロボットに耳を寄せて聞き取ろうとするたびに、カメラを通しておおのっちさんのモニターに映し出されるのは 私の耳のドアップ!(笑)
※ちなみに、声が聞きづらいときは、パイロットさんに伝えれば音量を調節してくれます。
静かな空間も
分身ロボット(パイロットさん)の接客はなしにカフェをたのしみたい方向けの空間もあります。
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-14.jpg)
ひとりの時間をくつろいで過ごしたり、ノートパソコンに向かって何かを打ち込んでいるお客さんもいました。
実は、ロボットバリスタも!
このカフェにはテレバリスタもいます。
パイロットとお客様がコミュニケーションをとりながら、好みや、その日の天候などに合わせてフレンチプレス方式で淹れる本格コーヒー。
ちゃんと写真が撮れていないのが非常に残念なのですが、奥のブースで、このときは外国人のお客さんに囲まれていました。
![BAR & Tele-Barista(バー・アンド・テレバリスタ)のエリア](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-15.jpg)
![分身ロボットカフェ『DAWN』のテレバリスタ](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-16.jpg)
このまた奥にお手洗いがあるので、その通りすがりに様子をチラ見したのですが、
いえーす!おっけいおっけい♪
といった感じで、陽気に接客されていました(笑)
分身ロボット開発者のオリィさんは黒!
この分身ロボットの開発者であるオリィさんにも遭遇!
慌てて記念撮影させていただきました・・・が、
![分身ロボットカフェ『DAWN』開発者オリィさんと](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn28.png)
この時点では、黒い白衣を着た全身黒ずくめの男性が一体何者なのか母にはわかっておらず、
芸能人を崇めるようなテンションの私と、いたって普通の母(笑)
思いの詰まったトイレ
素晴らしいと評判のトイレ。
もれなく母も使わせてもらって、ついでに写真にも収めました。
![分身ロボットカフェ『DAWN』の多目的トイレ](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-19.jpg)
![分身ロボットカフェ『DAWN』の多目的トイレ](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-20.jpg)
あらゆる人に対応できるよう、配慮と機能の詰まったトイレです。
ストレッチャー型の車いすでも回転できるスペースがあります。
しかも、とても清潔に保たれている!
地図が読めなくても
次に予定していた時間が迫っていたため、終始バタバタとしてお店を後にしました。
六本木に行きたかったので、東京メトロ日比谷線の小伝馬町駅を目指す。
まずはお店を出るときに、店員さんに道順を聞いて、急いでいたのでガンガン進みました。
すると、このあたりに、、、と思われる場所に「らしきもの」発見!
![小伝馬町駅2番出入口閉鎖中の看板](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-21.jpg)
なんと!閉鎖中??
こんな貼り紙が、、、
地図!!!
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-22.jpg)
地下鉄の出入口は出入口でも、私たちはエレベーターでないと下りられません。
地図どおりに進んだ(つもり)のですが、エレベーターの出入口が見つからない。
偶然、地図を手に持った何かの調査員のような方がいて、道を尋ねる。
地図を見つつ一緒に探して連れていってもらった先がこのエレベーターです▼
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-23.jpg)
地下におりていったら、無人の改札でした。
インターホンで話しかけたら「こちらは北千住方面(逆方向)の改札です」とのこと。
正しい方面である「中目黒方面」の道順を聞いて地上に戻る。
言われたとおりに進んだ(つもり)が、今度はこのとおり
![](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-24.jpg)
地図アプリとかも開いてみたけれど、たしかにここにエレベーターがあるとなっている(ように見えた)。
仕方がないので、隣のビルに作業着の男性が4人ほどいたので「エレベーターを探している」ことを伝え、全員で一緒に探してもらう。
なのに見当たらず。
そこでやっと、ふと、思い出しました。
念のため、ご利用予定の小伝馬町駅の電話番号をお伝えしておきますね。何かあったらこちらへ電話してみてください
と言われて書いたメモ!
電話すると、すぐに地上まで迎えに来てくれて、信号渡って少し歩いた先のエレベーターに案内してくれました。神!
![小伝馬町駅の中目黒方面改札へのエレベーター](https://accessible-japan.net/wp-content/uploads/2022/06/dawn-25.jpg)
珍道中もまたたのし
そんなこんなで30分ほどロスし、次の会場には大遅刻で到着しました。
でも、たのしかった~
ほんとうにいろんな人に助けていただきました。
事前準備も含めてお世話になったのは以下のとおり!
車椅子ユーザーの母とのお出かけ
— Challenge yuyu【バリアフリールームのあるホテル紹介】 (@challenge_yuyu) May 29, 2022
エレベーターに乗った回数
20回
お世話になった駅員さん
12人
道を教えてくれた(一緒に探してくれた)人
10人
ありがとうを言った数
たくさん
母と私も役に立てるように今日も前に進もう!
#WheeLog#5周年 #珍道中もまたたのし pic.twitter.com/c4bEKlAGLX
新たなるステージへ
この記事をご覧になり、お腹いっぱいで、もう行った気分になられた方もいるかもしれません。
また逆に、行ってみたいと思った方もいるかもしれません。
でも、残念ながら、私たちが行った分身ロボットカフェ『DAWN』はもうありません。
はぜなら、
バージョンアップしてリニューアルオープンするからです!
ぜひ、新しく進化した分身ロボットカフェ『DAWN』に行って体験してみてほしいです。
(ちなみに、回し者ではありません)
私たちも行きます! またたくさんの人に迷惑かけてしまっても!!!
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